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最高裁判所第一小法廷 昭和40年(オ)278号 判決 1967年2月23日

上告人

板橋藤一郎

右訴訟代理人

黒木章也

被上告人

山上忠政

右訴訟代理人

森景剛

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人黒木章也の上告理由第一、二点について。

所論の点に関する原審の事実認定は挙示の証拠によつて肯認し得、かかる事実関係の下においては被上告人を賃借人とし上告人を賃貸人として本件土地について賃貸借契約が成立し、上告人は右土地を被上告人に引渡すべきものとした原審の判断は正当であり、その他原判決には何等所論の違法はない。所論は畢竟、原審の専権に属する事実認定、証拠の取捨判断を非難するか、または原審の認定に副わない事実関係を前提として原判決を非難するに帰し、採用し得ない。

同第三点について。

原審の認定したところによれば、本件七二番地の一宅地三四〇坪三合六勺内には、表道路に面しかつ被上告人が米屋を営むに適した土地は相当個所あるというのであるから、そのうちの一個所五〇坪を被上告人に引渡して使用収益せしむべき債務は、選択債務に当るものというべく、従つて選択債務に関する規定の適用ありと解するを相当とする。されば、これと結局、同趣旨に帰する原審の判断は正当であつて、論旨は採用に値しない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。(松田二郎 入江俊郎 長部謹吾 岩田誠 大隈健一郎)

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